2018.03.23 |暮らし    2

85才、一人暮らし。ああ、快適なり【第16回 明治維新と向き合う】

 才能溢れる文化人、著名人を次々と起用し、ジャーナリズム界に旋風を巻き起こした雑誌『話の特集』。この雑誌の編集長を、創刊から30年にわたり務めた矢崎泰久氏は、雑誌のみならず、映画、テレビ、ラジオのプロデューサーとしても手腕を発揮、世に問題を提起し続ける伝説の人でもある。

 現在85才の矢崎氏は、数年前から、自ら望み、一人で暮らしている。当サイトでは、矢崎氏のライフスタイル、人生観などを寄稿いただき、その生き様に迫る。

  今回のテーマは、「明治維新」だ。開国以来、日本はどうあったのか、またどうなったのか、矢崎氏独自の視点で我々に問いかける。必読だ!

明治維新から150年を迎えた今、改めて横浜の海を眺めながら日本について考える矢崎氏

 * * *

明治維新から150年は、「まだ」か「もう」か

 今年は明治維新から150年を迎えた。まだそんなものかと思う人と、もうそんなに経ったかと思う人に、二分されている。前者はおそらく70才を越えている人、後者はそれ以降の若い世代だろう。第2次世界大戦の敗戦は73年前だから、そこが分岐点かも知れない。
 
 私にとっては、無論そんなに遠くはない。

 明治維新によって、日本は初めて国家を成立させた。つまり、それまでは、日本国は存在すらしていない。

 歴史学者の中には異論を説える人もいるが、いわゆる独立国としての概念が誕生したのは、明治政府が出来た時に違いない。

 しかもその明治政府は極めて急造の機関であり、欧米を模倣した構図に過ぎなかった。

 明治天皇を元首とした立憲君主国家ではあるが、権力を把握していたのは、旧長州藩の武士たちだった。いわゆる倒幕の志士たちである。

 外圧によって開国を迫まられた結果とは言え、徳川幕府は無血開城を断行した。本来は尊王攘夷を説えていた薩長連合は、錦の御旗を掲げて江戸城に入り、開国する。

 後は文明開化の波に乗って、明治政府を樹立させたに過ぎない。ほとんど先進諸国の言いなりになって、やっとの思いで独立を果たし、アメリカ、イギリス、フランス、スペイン、ポルトガル、オランダ、ドイツ(プロシア)の文化文明を急いで取り込んだ。

 はっきり言って、独立国とは名ばかりで、不平等条約を押しつけられて、各国の支配を受けていたのである。

 ところが世界情勢の変化の中で、日清・日露の戦争に勝利し、領土と権力を獲得する。つまり国際的な地位を得たことで、列強の仲間入りを果たすことになった。これが間違いの始りであった。

 アメリカやイギリスをはじめとするヨーロッパ諸国の庇護の下(もと)にありながら、列強と肩を並べたと錯覚する。そこで政党による議会も初めて誕生した。

 第1次世界大戦への参戦に次いで満州、台湾、朝鮮、樺太をほぼ手中に収めることに成功。帝国主義国家としての野心を抱くようになった。

 弱小国家が、ほんの数十年間の内に、大国の名乗りを上げたのは、まさに驚異だった。天皇を大元師陛下と祀り上げ、軍国主義を振りかざして、世界の覇権を目指した。身の程知らずは、多くの国から顰蹙(ひんしゅく)を買ったのである。

 明治維新を振り返って見ればわかるが、資源も経済力もない日本が、ドイツ、イタリアとの三国同盟をバネに全世界を敵に回すことになる。大東亜戦争は、無謀そのものの宣戦布告だった。

 あらゆることの発端は、明治維新にある。面従腹背(めんじゅうふくはい)の小国が、急成長して辿った道は、第2次世界大戦の無惨な敗北だった。

 こうした現実を、今こそ改めて考えてみなくてはならない。

民主主義国家として、今、何より大切なこととは

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▶コメント

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  1. イチロウ より:

    この国では、戦後数十年を経過しても、未だに防弾設備ゼロ、無線機は搭載していても通信不可能、速力は遅く、急降下すれば空中分解の文字通りの「ゼロ」戦を崇める国民が多数居る事実は、それこそ「永遠の阿保」としか言いようがありません。

    この現状では、明治維新まで遡るのは、到底無理で、まず、未だにその呪縛から覚めない「大本営発表」からして批判的検証をする必要があるのではないでしょうか。

    即ち、明治の初年にまで遡るのは、長尺で物事を考える風習の無い、私も含めるこの国の民には、到底、無理だと思うからです。 そして、その前にまず物事を論理的に科学的に考証する風習が常にならねばならないでしょう。 

    まず開戦時の大本営発表を正確に読み取る(聞き取る)能力から養成しましょう。 其処では、こうありましたよね。 

    「大本営陸海軍部十二月八日午前六時発表。帝国陸海軍は本八日未明西太平洋において米英軍と戦闘状態に入れり」

    いくら戦前でも、これは無茶苦茶と言わねばならないでしょう。 大日本帝国は、大元帥たる天皇陛下の統率の下に陸海軍があった訳である処、この文章では、陸海軍限りで「戦闘状態に入った」と言っているのです。 無茶苦茶ですし、加えて、宣戦布告も無しに突如として攻撃しながら、客観的に「戦闘状態に入れり」なんて、論理が破綻しています。 

    交通事故のように戦争が始まった、何て。 それは戦争では、偶発的に両者が出会い、交戦することはありますが、真珠湾を含む広範囲の海域、更には比島から東南アジア等までの諸国を攻撃し、侵攻していて「戦闘状態に入れり」なんて。

    時恰も、この国の外相がフェイク・ニュースをバラマキした事例がありますが、正にこの様に、今日でも大本営発表は生きているのですから、本当にこの夢から覚めない限りは、何事も正則に出来る訳はありません。

    「【ワシントン=黒瀬悦成】米ジョンズ・ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト「38ノース」は2日、河野太郎外相が「(北朝鮮が)次の核実験」を用意しているなどと述べたことに関し、発言内容を実質的に否定する分析結果を発表した。」 北の核実験場「実験準備の様子なし」 米サイト、河野外相の発言を否定 2018.4.3 07:10 産経ニュース 
    https://www.sankei.com/world/news/180403/wor1804030016-n1.html

    このニュース以前に、38ノースその他米国の観測情報では、北朝鮮の核実験の兆しは無い、との分析でしたので、河野外相の発言には戸惑いました。 氏の情報源は、米国ですから、観測事実を曲げた、としか考えられません。 これでは、トランプ大統領が激怒するかも。

    何れにしましても、国会の論戦も良い教材ですので、良い子は、良く読み、良く聞き、阿保な真似はしないようにしましょう。 

    そして、一時の熱情に負けて論理を貫徹出来なくなる欠陥人間にならないようにしましょう。 そうなれば、何処かの政治屋の思う壺になりますから。

    1+

  2. ニャン より:

    矢崎さんの連載、毎回楽しみにしています。今回は、社会に問題提起する矢崎節が炸裂ですね。明治維新から150年。わたしは、まだ、と思いました。ほんのちょっと前なんだなって。

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