2018.03.25 |暮らし    6

猫が母になつきません 第89話 「あける」

私の部屋の扉は猫が入りやすいようにいつも少しだけ開けています。わびはそこに顔を突っ込んでこじ開けて入ってくるのですが、さびは細いすき間からじーっとこちらを見て私が開けるのをいつまででも待っています。開けられないわけではないので、甘えているのか扉にさわりたくないのか…。扉が木のドアではなくふすまのような作りなので、さびはそれがデリケートな素材だということはわかっているようです。しかし部屋から出るときには自分で押し開けているので甘えているだけかもしれません。私が足を骨折してほどなく、役立たずのしもべを思いやってか見限ってか、さびは自分で扉を開けるようになりました。その意外とてきぱきとしたお姿を見るにつけ、なぜか寂しく一日も早くお役目を果たせる体に戻りたいと願わずにはおれません。

【作者プロフィール】
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。

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【この連載のバックナンバー】

第1話  「しらない」
第2話  「かたづけ」
第3話  「みかく」
第4話  「うめぼし」
第5話  「パソコンその1」
第6話  「パソコンその2」
第7話  「ない!」
第8話  「猫と母」

第9話  「けいたいでんわ」
第10話  「こっせつ その1」
第11話  「こっせつ その2」
第12話  「こっせつ その3」
第13話  「カルシウム」
第14話  「バイリンガル」
第15話  「すれちがい」
第16話  「ひとりじめ」
第17話  「かたおもい」
第18話  「ながでんわ」
第19話  「なぜここに」
第20話  「メメントモリ」
第21話  「きかない」
第22話  「スイートコーン」
第23話  「モシモシ?」
第24話  「いる!」
第25話  「ねがいごと」
第26話  「でまかせ」
第27話  「あかない」
第28話  「けいたいしない」
第29話  「できる」
第30話  「かくしんもてない」
第31話  「かくしんもって」
第32話  「こぐんふんとう」
第33話  「おさつ」
第34話  「しめる」
第35話  「ねむれない夜」
第36話  「怪談」
第37話  「そうじ」
第38話  「タイマー」
第39話  「かぎ」
第40話  「ねこにこばん」
第41話  「なつかない」
第42話  「けさないで」
第43話  「ふとん」
第44話  「さび」
第45話  「じかせい」
第46話  「おなかすいた」
第47話  「茶トラ」
第48話  「かえして」
第49話  「むかで」
第50話  「むかで─猫の場合─」
第51話  「今年もうめぼし」
第52話  「わびのごはん」
第53話  「ほんやく」
第54話  「さびのブラッシング」
第55話  「がいしょく」
第56話  「しょうじ」
第57話  「こけ」
第58話  「だかれる」
第59話  「茶トラ-その後」
第60話  「もちかえる」
第61話  「ひとりあそび」
第62話  「ハマる」
第63話  「ひみつへいき」
第64話  「にそくほこう」
第65話  「おどかしたい」
第66話  「やめない」
第67話  「かいたい」
第68話  「ねむりたい」
第69話  「あまもり」
第70話  「さびのごはん」
第71話  「うちまちがい」
第72話  「おなじです」
第73話  「ひっつき虫」
第74話  「あそんであそんで」
第75話  「ぶっとばす」

第76話  「メリークリスマス」

第77話  「おとしだま」
第78話  「ぶっとばしてみた」
第79話  「やっちまった」
第80話  「にげられる」
第81話  「むしして」
第82話  「ストレスはっさん」
第83話  「毎日アクロバット」
第84話  「しはんせいき」
第85話  「せいする」
第86話  「やぶる」
第87話  「ひじょうじ」
第88話  「つかえる」
第89話  「あける」
第90話  「立つ」
第91話  「はる」
第92話  「ちらかす」
第93話  「グルーミング」
第94話  「とまる」
第95話  「るーてぃーん」
第96話  「つかまえる」
第97話  「季節のめぐみ」
第98話  「しゃしん」
第99話  「ゆめ」
第100話「続・今年もうめぼし」
第101話「まだまだうめぼし」
第102話「ゆずれない」
第103話「ストップ再利用」
第104話「きづかれる」
第105話「いま?」
第106話「あっというま」
第107話「のまない」
第108話「つけない」
第109話「つかない」
第110話「ドライブスルー」
第111話「るすでん」
第112話「リフォーム」
第113話「かいかえる」
第114話「ピンク!」
第115話「足元注意」
第116話「にらまれる」
第117話「さがしもの」
第118話「こっせつ_その後」
第119話「はかない」
第120話「猫の手」
第121話「やればできる」
第122話「あっとうされる」
第123話「おしまくる」
第124話「ゆだんする」
第125話「いただく」
第126話「たべない」
第127話「いるやつ」
第128話「さむい」
第129話「きこえてる?」
第130話「いぞんする」
第131話「はいらない」
第132話「おかないで」
第133話「つける」
第134話「はなせる?」
第135話「あじみする」
第136話「きになる」
第137話「すいてた」

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▶コメント

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  1. Mrg より:

    さびちゃん、いじらしいですね。

    1話から最新のお話まで一通り読みましたが、また最初から全部読んでしまうほど、はまっています。
    コンビニで買える500円ぐらいのペーパーバックにまとめてほしいです。

    13+

  2. ぱあこ より:

    103歳でなくなった義母を思い出します。捨てたはずの物が戻っているときの恐怖、私も経験があります。部屋の蛍光灯を替えている時は電気屋さんと呼ばれ、毎日きちんとご飯を食べているのに「3日も食べてない、飢え死にさせる気か」と階段下から叫ばれ、泣きたくなりました。そんな時はは気分転換。自分にご褒美を。

    0

  3. nurarin より:

    作者のnurarinです。

    >>イチロウさん
    大変でしたねー。
    第39話に「かぎ」という回があるのですが、
    母は昔からしょっちゅう鍵をなくす人で、そのくせどこにでも鍵をかけたがるので、うちでは鍵事件はひんぱんに起きています。
    今は猫の閉じ込めを一番注意していますが
    猫たちはかしこいので閉じ込められたことはありません。

    0

  4. イチロウ より:

    第89話の表題は「あける」なので、「閉じる」または、「(鍵を)閉める」は、止めておこう、と思ったのですが、話のついでに、ここ十数年も完全に沈黙して無かったことにしていました実話をコメントで書いてしまおう、と思いました。 私のこれまでの人生で一番目か二番目の失敗談の告白です。

    それは、ある春の休日の早朝のこと。 眠気眼で寝間着のまま玄関のポストにある新聞(まだ購読していましたので)を取りに出た私の耳に、猫達(長男猫と次男猫)の騒ぐ声が聴こえました。 何故か、胸騒ぎがしまして、玄関のドアを開けて家に入ろうとしたときに、驚いたのです。 鍵がかかっていて開けられないのでした。 

    次男猫がドアに飛び掛かっていて騒いでいましたので、さては、鍵を家の中からかけたのか、と気がつき、それでも何とかドアを開けようとするものの、ガチャとかかった鍵はビクともしません。 中では、何やら騒ぐ猫達の声が一段と大きく聴こえました。

    寝ぼけて戸外に出た私は、寝間着のポケットに鍵を入れていませんでした。

    その時に、思い出したのです。 日頃、自分が猫達に、「ドアを開けたり、扉を開けたり、するけれど、ドアを締めたり、扉を締めたり、出来ないだろう。」と言っていたのを。

    さあ、困りました。 仕方が無いので、お迎えの家に救いを求めました。 でも、早朝ですので、玄関の呼び鈴を押しても、なかなか隣人は、出てくれません。 漸く返事があり、玄関に出て来られた隣人に、自分の話を真面目に聞いて頂くのに半時間程かかりました。 

    「猫が鍵をかけるのですか?」と何度も聞かれる隣人に漸く電話を借りて、鍵の110番を呼びましたが、その日は、呼び出しが多い様子で何時間も待ちました。 

    到着した鍵の110番の係員に、自宅の鍵の開錠要領を説明すると、一定時間内に開錠しないと警報が鳴るので、なかなか難しいとのことで、既に半日も待った挙げ句に何時になれば開錠出来るのか分からない状況に困惑した挙句、隣人に梯子を借りて、鍵の110番係員に二階の窓ガラスを破り家内に入り玄関ドアを開けて貰い、漸く一件落着したのでした。 自分は、裸足で寝間着のままの上に、高所恐怖症なので梯子で二階に上がるなんて出来ませんでしたので。

    昼からは、ガラス屋を呼び、割れた二階の窓ガラスを修理して貰ったのですが、ガラス屋曰く、窓ガラスを破るのならば、鍵の110番を呼ばずに私を呼べば良いのに、と呆れ顔でした。

    それ以来、近隣の方々が私に出会うと、飛びっきりの笑顔で挨拶されるのが気になりましたし、職場で同僚にうっかりと話した後には、可成りの数の上司、同僚が私を見て笑うのが癪に障りました。

    何より、気になったのは、長男猫がしばらく、私と距離をおくことでした。 まさか、次男猫を指揮して施錠し自分達猫でも鍵ぐらい施錠出来る事実を示すべく飼い主を閉め出したのではないだろうな、と今まで気になっています。 

    次男猫が実行犯であるのは、私自身が目撃した訳ですが。

    0

  5. nurarin より:

    作者のnurarinです。

    >>イチロウさん
    私はいつも猫の遊び方に感心します。
    わびが獲物に見立てたおもちゃに体を低くして膝掛けにもぐったまま近づき
    近づいたところで少し顔をだして位置を確認し、もう一回かくれて
    突然おもちゃに飛びついて捕まえるという狩りのシュミレーションを
    見たときにはその設定の細かさに感心しました。

    0

  6. イチロウ より:

    猫さんは、知能が相当に高いと思われます。 正確に言いますと、知能の高い猫も居て、中には人間が思いもかけない猫も居る、と言うことですが。

    今は亡き長男猫は、何処でも開けるので困ったことがあります。 否、配下(?)の猫を指揮して何処でも開けるのでした。

    二階の部屋の前で見たのでしたが、自分が入りたい部屋の前に居た長男猫を、何をしているのか、と観て居ますと、次男猫を呼びつけましたので何が始まるのか、と興味深々で観察していますと、駆けつけた次男猫がドアのノブにぶら下がり後脚でドアを蹴るのでした。  あれれ、と思っていますと、すかさず長男猫がドアと壁との間に出来た隙間に体を入れて、すっと部屋に入るではありませんか。 

    呆れましたし、猫とも思えない仕業に怖くもなりました。 私は、長男猫が、本当に猫なのか、と一時は、疑った程でした。 猫が猫を指揮する、なんて。

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