2020.09.08   

ドリフ3人で魅せた『24時間テレビ』の演奏&ギャグ 高木ブーの熱い想い【連載 第25回】

「54年前より、うまく演奏できたかな」と高木さん。8月23日の『24時間テレビ』(日本テレビ系)では、高木ブーさん、加藤茶さん、仲本工事さんの3人が、思い出深い『Long Tall sally』を披露。ハツラツとした歌と演奏、そして切れ味のいいギャグは、視聴者に驚きと感動を与えた。3人でのステージに対する高木さんの想いとは?(聞き手・石原壮一郎)

『24時間テレビ』では、ドリフらしさを出せたかな

 さすが『24時間テレビ』だよね。8月23日の朝に加藤と仲本とやった『Long Tall sally』は、幅広い年代のたくさんの人が見てくれたみたいで、インスタグラム(@bootakagi85)とかを通じて大きな反響がありました。

「ドリフの演奏、カッコよかったです」「すごく感動しました」なんて言ってもらうと、やっぱり嬉しいよね。

楽屋の前に立つ高木ブー

『24時間テレビ』の本番を前に、楽屋の前で(写真提供/高木ブー)

 ビートルズ日本公演の時に、ドリフが前座でやった歌を54年ぶりに演奏しよう――。加藤が呼びかけてくれて、もちろん僕も仲本もふたつ返事で引き受けた。加藤は番組のインタビューで「コロナでみなさん元気がない。俺たちを見て元気を取り戻してくれたら嬉しいと思って」と言ってたよね。僕たちにはわざわざそんな説明はなかったけど、ふたりとも加藤が「やろう」って言い出した気持ちは十分にわかってました。

 コロナだ何だでしばらく間が空いてるけど、加藤と仲本と僕は、ちょっと前まで「こぶ茶バンド」で年に何度もステージに立ってた。だから、演奏に関しては何の心配もない。事前のリハーサルでも、すぐに息を合わせることができた。

 そういえば『Long Tall sally』は、今まで「こぶ茶バンド」では一度もやらなかったんだよね。なんでだろう。長さんや荒井さんも入れた5人でやった曲だからっていう思いがあったのかな。今回のことがいいきっかけになったから、また「こぶ茶バンド」のステージが再開した時には、どんどんやっていきたいね。

ドラムを叩く加藤茶、ギターを弾く仲本工事、高木ブー

54年ぶりに『Long Tall Sally』を演奏。もともとこぶ茶バンドとして活動している加藤茶さん、仲本工事さん、高木ブーさんが揃って息の合ったパフォーマンスを披露した。写真はリハーサル時(写真提供/高木ブー)

 本番の演奏は、うまくいったんじゃないかな。ビートルズの時の動画も見たけど、今回のほうがテンポがゆっくりで、バタついてなかった。仲本の歌も、あの時より味があったと思うよ。『8時だョ!全員集合』で長く音楽をやってくれてた岡本章生とゲイスターズが、バックでサポートしてくれてたのも心強かったね。

 メロディーの節目でギターを勢いよく振り下ろすアクションも、いろんな人に「決まってましたよ」って言ってもらった。演奏とは関係ないんだけど、そういう遊びの動きがあったり、最後に加藤が「コン」っていう音を出して一斉にコケたりするのが、ドリフらしさだから。

 僕が入った頃はジャズ喫茶に毎日出て、洋楽から流行歌から、いろんな曲にギャグを織り交ぜたネタをやってたからね。レパートリーは、いくらでもあった。昔の歌をやったら、当時をちょっと思い出したな。

 そうそう、せっかくの機会だから、54年前と同じギターでやろうと思ったの。だけど家にしまってあるのを出してみたら、思ったより大きくて。それに弦がスチールだから、普段からいじってて指にマメができてないと弾けないんだよね。仲本は当時のギターを使ったけど、僕は通称「デカレレ」っていう6弦の大きいウクレレを使った。雷様キャラの人形をくっつけたカポ(弦を押さえる部品)も、アップで映してくれてたね。

 こんなこと言うとスタッフに悪いんだけど、ひとつだけ残念だったのが、最後の場面で僕がコケた瞬間が、テレビではよくわからなかったこと。直前に2回リハーサルした時に、こっちからこう撮ってねって言っといたのにな。本番含めて3回とも勢いよくコケて、けっこう痛かったんだよね。それはいいんだけど、3人がそろってコケてる姿がバッチリ映ってないとないと、オチとして弱くなっちゃう。

 でも、ドリフらしさは十分に出せたから、僕としては満足です。長さんや荒井さんや志村も、見てくれたかな。きっと見てくれたんじゃないかな。それにしては長さんのダメ出しの声が聞こえてこなかったけどね。「俺もステージに立たせろ」なんて思ってたのかもしれない。あの時みたいに、最後に「逃げろー!」って叫ぶつもりでね。

 3人の平均年齢は81歳。まあ、僕がけっこう引き上げてるんだけど。そんな3人が歌って演奏して、ギャグも織り交ぜてる。テレビを見て、元気になった人や笑顔になった人がいっぱいいるといいな。でも、いちばんたくさん元気をもらったのは、間違いなく僕たち自身だよね。終わったあとに加藤が「やっぱりこのメンバーはいいね」って言って、仲本も僕も大きくうなずいた。

 今年はフェスも全部なくなっちゃった寂しい夏だったけど、最後に3人で演奏できてよかったな。だけど、やっぱりお客さんの前で演奏したい。僕らはお客さんが喜んでくれてる顔を見るのが何より嬉しいし、それが生きがいだから。もし来年も『24時間テレビ』に出してもらえるなら、今度はあの時と同じ武道館のステージで演奏できたら最高だね。

「久しぶりのドリフ3人揃っての演奏とギャグを見て、笑顔になった人がいっぱいるといいな。でもいちばん元気をもらったのは僕たちでした」

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高木ブー(たかぎ・ぶー)

1933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』(http://www.110107.com/s/oto/discography/DQCL-566?ima=1025)など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。YouTube「高木ブー家を覗いてみよう」「【WithBOO】雷様のウクレレ レッスン」(イザワオフィス公式チャンネル内)も大好評!

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊は「恥をかかない コミュマスター養成ドリル」。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

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