2020.09.19 |サービス   

【中央・総武線】注目の特別養護老人ホームと介護付有料老人ホーム【まとめ】

 評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。

 東京都心を東西に貫くJR「中央・総武線」。多摩地域と千葉方面にも延びている路線は多くの人の生活を支えている。新宿駅や東京駅などのターミナル駅だけではなく、吉祥寺駅のような住みたい街として人気の駅も多い。今回は、中央・総武線沿線の特別養護老人ホームと介護付有料老人ホームを紹介する。

地域の福祉拠点として子供から高齢者まで集う総合福祉施設「リバービレッジ杉並」

 中央線快速や中央・総武線各駅停車、東京メトロ「丸ノ内線」が乗り入れ利便性の高い「荻窪」駅。「リバービレッジ杉並」は荻窪駅からバスで7分ほどの場所に2019年3月にオープンした。こちらの施設は総合福祉施設と謳っている通り、特別養護老人ホーム、ショートステイ、小規模多機能型居宅介護、訪問看護の4つの事業が展開され、さらに同じ施設内でカフェと貸し出しスペースを運営している。

総合福祉施設のカフェ

地域の住民の憩いの場になっているカフェ

 リバービレッジ杉並を運営しているのは社会福祉法人「真光会(しんこうかい)」。昭和54年の法人設立以来、東京都青梅市を中心に地域密着で福祉拠点作りに取り組んできたという。現在は18事業で約400人の職員が働いており、子供やパラリンピック選手を対象としたスポーツ事業、無料学習塾の運営など、地域公益事業にも積極的だ。創始者は元々旅館業を営んでいたが、戦後に困窮している高齢者などの様子を見て、私財を元に社会福祉法人を立ち上げたそうだ。蛇足だが、いずれの宗教法人とも関係性はない。

総合福祉施設の外観

静かな住宅地にあり、落ち着いた生活を送れる

 こちらの施設ではスポーツ教室や様々な学びの場を通じて、子供たちの力を育てる「キッズ元気プロジェクト」を実施しているという。本部のある青梅市で6年ほど前から無料の学習塾やスポーツ教室を運営し、地域の子供たちを明るく元気に育てる活動に取り組んできた。その蓄積を活かして、杉並区でも地域の子供たちを支援している。

総合福祉施設の体育館のような貸し出しスペース

木の香りがし、体育館のように天井も高い貸し出しスペース

 カフェと貸し出しスペースは、道路を挟んだ向かいにある緑豊かな妙正寺公園とまるでひと続きになっているかのように建てられている。カフェではコーヒーや紅茶、食事、スイーツが楽しめ、近所の住民の憩いの場になっている。貸し出しスペースは1時間1000円で借りることができ、地域の人や団体がスポーツやサークル活動、催し物、パーソナルトレーニングなどに利用しているそうだ。地域との交流が深まることは中にいる高齢者にとってもメリットがあるという。

カフェのカウンターテーブル

カフェではパンも作っていて焼きたてを提供

 杉並区の土地を真光会が借りるかたちで、設立されたリバービレッジ杉並。杉並区の公募で選ばれた提案には、カフェや貸し出しスペース以外の部分の設計にもこだわりがあるという。例えば、こちらの施設の中心部分である特養。10名前後の人数で1つのユニットを形成するユニット方式の場合、見守りのしやすさなどの理由からリビングを取り囲むように居室を配置するのが一般的だが、ここは全く違ったコンセプトの住空間となっている。

オレンジ色の壁の特養の居室

気持ちが明るくなる壁の色

 居室は入居者が静かな環境で過ごせるように、わざとリビングから離れた場所に作られている。見守りのしやすさという職員目線ではなく、入居者の生活の質を優先させたという。見守りのためにベッドでの様子が分かる眠りスキャンを入れるなど、ICTを活用。ほとんどを間接照明にするなど照明にもこだわり、落ち着いた雰囲気で過ごせるようにしたそうだ。

特養の共用部分

居心地の良さにこだわった共用部分の照明や椅子

眠りの様子をチェックする眠りスキャン

小規模多機能にも導入している眠りスキャン

※眠りスキャン:入居者の睡眠状態や起床、離床などの様子をベッドに敷いたセンサーで把握できる機器

 居室のトイレの入り口と壁は広く開放できるので、車椅子での移動や介助を受けやすくなっている。居室から共用部に至るまで、機能性とデザインにこだわっているという。

扉が大きく開く特養居室のトイレ

身体の状態に合わせて使い方を調整できる

 入居者が快適に過ごすための配慮は共用部のちょっとした所にも。フロアの少し引っ込んだ人目につかないような場所にくつろげるスペースが用意されている。居室以外のゆっくりと過ごせる場所は入居者にも好評だという。

特養の団らんスペース

家族が来訪した際の団らんの場にもなる

 いかがだっただろうか。昭和54年の設立以来、こつこつと積み重ねてきた実績を活かし、地域との交流を建物の設計と運営に組み込んでいるリバービレッジ杉並。杉並発の新しい福祉の拠点に地域が寄せる期待は大きく、満室になっていることが多いようだ。

→地域の福祉拠点として子供から高齢者まで集う総合福祉施設<前編>
→離職率9%!人材育成に力を入れている総合福祉施設<後編>

看取り率6割!看護師が24時間常駐している介護付有料老人ホーム「ライフステージ阿佐ヶ谷」

 住宅街と商店街がバランスよくあり、住みやすさが人気の「阿佐ヶ谷」駅。駅から徒歩約4分と利便性の高い場所にある「ライフステージ阿佐ヶ谷」の特徴は看護師が24時間おり、看取り率が高いことだという。運営を行っている株式会社星医療酸器は、1974年の創業以来、医療ガスを提供する事業を行い、在宅医療にも貢献してきたそうだ。

阿佐ヶ谷にある介護付有料老人ホームの外観

外観が特徴的な「ライフステージ阿佐ヶ谷」

 看護師が24時間常駐しているため、緊急時や医療依存度の高い入居者にも適切な対応が可能だという。例えば、経管栄養やたんの吸引などが必要な人の対応もできるそうだ。看護師がいるために麻薬の使用も可能で、看取りのケアにも力を入れている。24時間途切れないケアと在宅医療の医師との連携によって、病院での最期を希望する入居者を除き、6割近くの入居者の看取りをしているという。

老人ホームのテラス

陽当たりの良いテラス

 新しい試みも積極的に取り入れているライフステージ阿佐ヶ谷。その一つが「ドールセラピー」を導入。使っているのはそのドールセラピーが広く普及しているというスウェーデンのルーベンズバーンズ社の人形だ。元々は教育的配慮を必要とする児童を対象として開発され、その後、認知症ケアへの効果が認められ、多くの高齢者施設で利用されるようになったという。自分の好みに応じた形や大きさ、色の人形を選ぶことができる。大好きな人形を抱きしめることで、不安を感じている高齢者が落ち着きを取り戻す効果があるそうだ。

介護付有料老人ホームで使われるドールセラピーの人形

ドールセラピーの人形の目線は最初からずれた状態で作られており、抱きかかえた時にアイコンタクトがとれるようになっている

 比較的小規模な施設にも関わらず、共用スペースの数が多いこともこちらの施設の特徴。各フロアにくつろげるスペースがあるので、部屋のすぐ近くで自宅のリビングのようにくつろいだ時間を過ごせる。

介護施設の共用スペース

建物中央部分に共用スペースが配置され居室が囲むような構造になっている

 居室には緊急通報装置もあり、安全に配慮した部屋作りが意識されている。テレビなどは無料でレンタルできるそうだ。

介護施設の居室

居室のベッド、タンス、机、椅子、ミニ冷蔵庫、テレビは無料でレンタルできる

 介護スタッフの6割以上を介護福祉士で揃えているのは、手厚いケアを実現するため。専従の理学療法士による生活リハビリの提供、認知症専任スタッフの配置など介護サービスの充実にも力を入れている。さらに、徒歩3分の距離にある救急機能がある総合病院への受診の付き添い、入退院の支援を無料で行っているそうだ。協力医療機関とは月2回以上の訪問診療を含め、24時間の医療連携体制を確保しているため、安心感がある。

→看取り率6割、看護師の施設長が運営する介護付有料老人ホーム<前編>
→看取り率6割、看護師の施設長が運営する介護付有料老人ホーム<後編>

地域に開かれた運営を実践!“三つの幸せ”が理念の介護付有料老人ホーム「杜の癒しハウスひらい」

 JR総武線「平井」駅から徒歩3分と利便性の高い場所にある「杜の癒しハウスひらい」。施設から2分ほど歩くとお惣菜や飲食店などが立ち並ぶ平井親和商店街があり、親しみある下町の雰囲気を漂わせている。平井公園や護岸の整備された旧中川などちょっとした散歩にピッタリのスポットもあり、落ち着いた暮らしができる環境が整っている。

介護付き有料老人ホームの外観

駅から徒歩3分とは思えないほど落ち着いた雰囲気

「杜の癒しハウスひらい」を運営する社会福祉法人「三幸福祉会」は、介護・保育施設事業の他、専門学校・大学・短期大学・高等学校などを運営する学校事業、生涯教育事業など6つの角度から事業展開している三幸グループの一員。医療・介護系の専門学校の卒業生は、介護福祉士など専門性を身につけて活躍している。三幸福祉会はその名の通り、「職員(メンバー)の幸せ」「ファミリーの幸せ」「ご家族と地域の皆様の幸せ」の“三つの幸せ”を理念としているという。

介護付き有料老人ホームのロビー

家族や友人との団らんやカラオケも楽しめる

「杜の癒しハウスひらい」のエントランスを入ると、広々としたスペースが確保されたラウンジが広がる。2面がガラス張りになっていて、日当たりもよく、開放感のある空間は入居者の憩いのスペースとなっている。食堂は各階にあるので、ここは交流を目的とした共有スペースとして主に利用されているという。スタッフルームがラウンジに隣接されているので、入居者と職員がお互いに声をかけやすい。こちらでは入居者のことを“ファミリー”と呼んでいるが、地域の住民や子ども、ボランティアなどが一体となってファミリーとの交流を楽しみ、見守っているそうだ。

介護付き有料老人ホームのリハビリスペース

ラウンジはリハビリの場としても使われる

 こちらの施設には、日中の時間帯に365日看護師が配置されているという。病院に行かなければならないような急な体調変化だけではなく、日々の健康管理のサポートもしてくれる。また、夜間は各フロアの夜勤スタッフに加えて、緊急対応ができるように宿直のスタッフを1名配置しているという。そのため、緊急対応が必要になっても、他の入居者へのサービスが低下することはない。これも単純な人員配置の数字だけを見ていると分からないポイントだ。

介護付き有料老人ホームの看護師のいる部屋

看護師はラウンジに面した場所にいるので相談しやすい

 居室には電動ベッドや温水洗浄便座付きトイレ、エアコン、カーテン、クローゼット、チェスト、室内照明などが標準装備。部屋は車椅子でも出入りしやすいように間口が広くなっている。洗面台下のスペースも車椅子でも入れるように配慮された設計になっており、緊急時のためのナースコールも設置されている。

介護付き有料老人ホームの居室

使い勝手良く設計されたシンプルで落ち着いた部屋

 食堂は2階から4階の各階に設けられているので移動の負担が少ない。日々のメニューは管理栄養士の指導のもとに作られており、地方の名物料理を提供するなど、楽しみも重視しているという。ソフト食は、完成した料理をすりつぶした後に形や味を整えているそうだ。

介護付き有料老人ホームの食堂

各階にある食堂で日中の時間を過ごす入居者も多い

 入居者、そして家族の助けとなるサービスを介護の基本に忠実に行い、地域との交流に積極的に取り組んでいる「杜の癒しハウスひらい」。「サポートが必要な毎日でも、自分らしい暮らしがしたい」「体調が優れない時も、快適に過ごしたい」といった願いを叶えてくれそうだ。

→お祭りでは神酒所に!地域に開かれた運営を実践する介護付有料老人ホーム<前編>
→職員が20代が中心で意欲的!“三つの幸せ”が理念の介護付有料老人ホーム<後編>

 それぞれ個性を持っている中央・総武線の各駅。駅同様に沿線の施設もバラエティに富んでいる。気になる施設を複数ピックアップして、路線を絞って老後の住まいを探してみるのも良さそうだ。

撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。

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●特養に早く入所する裏ワザ|判定会議で優先順位を上げる方法や狙い目

●介護が始まるときに慌てない!要介護認定の申請、介護保険サービス利用の基礎知識

●介護施設の種類・選び方【最適施設がわかるチャート付】費用・親の状態で施設を見つける

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