2018.04.17    1

【難聴】放置すると認知症のリスクも 「いちじ」と「しちじ」わかるかチェック

 世界保健機関(WHO)は3月、高齢者人口の増大などで聴覚障害に苦しむ人が世界的に増えており、2050年には現在の4億7000万人から9億人と、難聴者が2倍近くに増加する可能性があると発表した。日本では、2008年におよそ500万人だった難聴者が、現在は550万人に増加していると推計している。

難聴を放置すると認知症のリスクも(写真/アフロ)

加齢による難聴、高い音から次第に聞こえなくなる

 国立長寿医療研究センター耳鼻いんこう科の杉浦彩子先生が指摘をする。

「加齢による難聴は、実は30代後半からすでに始まっていて、高い音から次第に聞こえにくくなる傾向にあります。私たち人間は2万Hz(ヘルツ)までの音を聞くことができます。30代になると、この2万Hzが次第に聞きづらくなってきます。聴力は高音を聞き取る能力から徐々に衰えていき、50~60代になると8000~4000Hz付近の音が聞き取れなくなる。この4000Hzの音域が聞こえなくなってくると、聞き間違いが増え始め、日常生活に支障をきたすことがあります」

 耳が遠くなるメカニズムは、主に4つあるという。

いちばんの理由は、カタツムリのような形をした蝸牛(かぎゅう)という部分の内側にある有毛細胞が摩耗し、ダメージを受けるからです」(杉浦さん)

 有毛細胞は十数本の細い毛が生えた細胞で、蝸牛に伝わってきた音の振動をキャッチするセンサーのような役割を果たしている。大切な音を選択して聞き分けたり、微弱な音を聞き漏らさないようにしたりするなど、非常に優れた細胞だ。

「蝸牛の入り口周辺の有毛細胞が高い音を感知するのですが、奥にある低い音を感知する細胞に比べると、早く摩耗してしまうのです。大音量を長時間にわたって聴き続けたりすると、傷んでしまい、やがて難聴や耳鳴りを招いてしまいます」(杉浦さん)

 ほかにも、耳の血流が悪くなり組織が傷むことや、音を聴く膜が硬くなってしまうこと音を脳に伝える神経が傷んでしまうことなども、耳が遠くなる原因だ。

 年齢とともに耳の機能が衰えていくのは、ある意味、仕方ないこと。しかし、耳の老化は何も高齢者だけの問題ではない。

「現代社会は昔に比べ、テレビやラジオをはじめ常に何らかの音が鳴り響いている。つまり有毛細胞が摩耗しやすい環境にあるのです。ディスコ難聴やロック難聴といわれるように、耳は大音量の音を騒音と捉え、若くして難聴になる可能性があります。たとえば、突発性難聴のため、2016年にライブ活動を休止したロックボーカリストの氷室京介さんがそうですが、長くロック音楽などに携わっていると耳に影響が出やすい」(杉浦さん)

 そして、耳の老化は決して高齢者の病ではない。

「か行、さ行、た行などの無声子音は4000Hzの高さにあることが多く、これらの子音が聞き取りづらかった人は、体温計の“ピピピ”という音が聞こえなくなっている可能性があります」(杉浦さん)

きちんと聞こえているかチェック!

□いちじ← →しちじ
□おかし← →おはし
□さかな← →たかな
□ひろい← →しろい

難聴を放置すると脳の視覚野が萎縮する

 難聴のサインは、日々の行動からも確認が可能だ。

「会話の途中で何度も聞き返すことがある。家族からテレビの音が大きいと注意される。こうしたことがあれば、対策を講じる必要があるでしょう」(杉浦さん)

 ほかにも、銀行や病院で名前を呼ばれたり、後ろから呼びかけられたりしても気づかない。ドアの開閉音が聞こえない。これらも難聴の初期症状なので、注意しておきたい。

 難聴は、一気に聞こえなくなるというわけではないため、放置していると、いつの間にか聞き取りが困難な状態に陥ってしまうことが多い。少しでも聞こえが悪くなったと感じたら、すぐに耳鼻科で診察を受けるべきだ。

「難聴を放置しておくと、聴覚野が委縮し、認知症にもつながってしまいます」(杉浦さん)

 また、耳が遠いと大きな声で話さなくてはいけないため、怒鳴っているように聞こえたり、言った言わないなどというコミュニケーションミスが目立つことも多くなるという。

「そうしたことで険悪な雰囲気になり、関係が悪化することがあります。それが重なると、思い込みが激しくなり、孤独を感じるなど、精神面に影響をおよぼしてしまいます」(杉浦さん)

 ひとたび始まってしまった耳の老化を元に戻すことは不可能だが、日常生活に潜む聴力低下のリスクは避けたいところ。杉浦さんによると、85デシベル以上の音を1日8時間以上聞いていると、耳が傷むという。

「80~90デシベルは、電車の高架下やカラオケ店、パチンコ店、コンサートなどがそれにあたります。もしそういった場所が職場である場合は、耳栓などをつけた方がいいでしょう」(杉浦さん)

 普段の生活でも、少しでも“うるさい”と感じたら、それは耳が疲れている証拠。夫の見ているテレビの音量が大きかったり、映画の音が割れるように感じる時は遮音効果を持ちながらも音を楽しむことができる“ライブ用耳栓”もオススメだ。

※女性セブン2018年4月19日号

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  1. コージー より:

    80才の父は、もう何年も前から聞こえが悪くなっています。年だからしょうがないと思っていましたが、認知症の恐れもあるんですね。もっと早くにケアしてあげれば良かったです。

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