2020.11.20   

介護保険の負担割合が増える? 相続時に注意したい4つの注意ポイント

 介護保険で介護サービスを利用したときの自己負担は1~3割となっている。1割と3割では負担額が大きく変わってくる。また、相続などによって負担割合が増えることがあるので注意が必要だ。ファイナンシャルプランナーの大堀貴子さんに介護保険の負担割合について解説いただいた。

老人とお金、介護保険のイメージ

介護保険の負担割合により支払う金額が変わる

 介護保険で介護サービスを利用する場合、自己負担額は1~3割となっている。1割か、2割か、3割なのか、割合によって支払うお金が大きく変わってくる。

 介護保険は40歳以上が加入し、65歳以上で要介護認定を受けることで利用可能となる(40〜60歳の加入者は老化に起因する指定された16疾病により介護認定を受けた場合にのみ対象となる)。

※厚生労働省資料を参照:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2gou_leaflet.pdf

介護保険の負担割合による負担額の表

表作成/大堀貴子さん

 介護保険料の負担額は、1~3割によって変わる。例えば、要介護度5の場合で限度額まで利用すると、1割の負担の人は自己負担額は3万6217円だが、3割負担の場合は3倍の10万8651円かかることになり、負担割合によって大きな差となる。

 ただし、自己負担額が上限金額を超えた場合には、高額介護サービス費で還付される仕組みになっている。

→介護が始まるときに慌てない!要介護認定の申請、介護保険サービス利用の基礎知識

介護保険の負担割合はどのように決まる?

 介護保険の負担割合は、所得によって判断される。例えば、本人の合計所得金額が 160 万円未満か、「年金収入」と「その他の合計所得金額」の合計額が単身世帯で280万円未満、または2人以上世帯で346万円未満の人は1割負担となる。

介護保険料負担額の判定の流れ

※参考/厚生労働省 介護保険負担割合 https://www.mhlw.go.jp/content/000334525.pdf

 所得が多ければ2割、3割と負担割合が上がる。負担割合の判断基準となる所得とは、「年金収入」と「その他の合計所得金額」のことを指す。

その他合計所得金額とは?

「その他の合計所得金額」とは、以下の【1】と【2】の合計額に、退職所得金額や山林所得金額を加えたものとなる。

【1】事業所得、不動産所得、給与所得、総合課税の利子所得・配当所得・短期譲渡所得及び雑所得の合計額(損益通算後の金額)

【2】総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額の2分の1の金額

 つまり、まとまった退職金を受け取った場合や、不動産売却時などは、所得が増えるため、介護保険の負担割合が上がるケースはあるかもしれない

相続時に注意! 介護保険の負担割合が増える4つのケース

 親や配偶者の死亡により財産を相続した場合、介護保険の負担割合は増えるのだろうか?

 相続で得た財産は所得ではないため、介護保険負担割合の判断材料となる合計所得金額には参入されないため、介護保険負担割合は増えないと考えられる。

 ただし、相続した財産によって以下のような所得を得る場合には、介護保険負担割合が増える可能性がある。

1.相続した不動産の賃料収入がある

 不動産収入として判断基準となる。ただし、その不動産の借入利子等の経費を差し引いた収入が基準となる。

2.相続資産を売却した

 相続した不動産等を売却した場合に、取得費、譲渡費用を除き売却益があると合計所得金額が増える。

3.死亡保険金

 契約者が自分、被保険者が被相続人(亡くなられた人)、死亡保険金受取人が自分の終身保険や定期保険にかかる死亡保険金は一時所得となり、死亡保険金から支払保険料を引いた分がり一時所得となり、合計所得金額に参入される。年金形式で受け取った場合は、年金額から対応する支払保険料を差し引いた額が基準となる。

4.株式、社債等の収入がある

 相続した株式等の金融資産を売却し、確定申告をすると合計所得金額が増える。

 ただし、証券会社などで開設した口座が、特定口座で源泉徴収ありの口座なら、確定申告不要となる。かつ確定申告をしていなければ、合計所得金額に参入されない。

 特定口座でも、源泉徴収なし、3年間の繰越控除、証券会社間での損益通算等確定申告が必要な場合には、確定申告をすることで合計所得金額に参入される。さらに、繰越控除の場合に参入される所得は、損失と通算する前の収入が参入される。

 あくまでも相続によるものではなく、相続資産から得られる所得があれば、介護保険料の負担割合は増える仕組みになっている。

→相続、贈与の違いは?認知症の親から生前贈与は可能?贈与税の対策と注意点を解説

介護保険の軽減措置が受けられないことも

 また、介護保険は低所得者に対する軽減措置があるが、以下のような資産に関する規定があることに注意したい。
 例えば、食費や居住費は原則自己負担となっているが、住民税非課税世帯の介護施設入居者は負担を軽減する制度「特定入所者介護サービス費(補足給付)」がある。

 しかしこれは、預貯金等が単身では1000万円超、夫婦世帯では2000万円を超える場合には、非課税世帯であっても受けることができない。相続により預貯金などの資産が増えた場合は、こういった給付を受けられなくなる。

→介護施設の食費が6万円も安くなるのはどんな人?|知らないと損する介護保険の話

負担割合は介護保険負担割合証で確認

 介護保険負担割合は、要介護・要支援認定を受けた人の昨年の収入をもとに、毎年7月頃に市区町村から介護保険負担割合証が交付される。新たに認定を受けた人は、認定結果の通知書とともに交付される。

 今のところ、相続しただけで介護保険の負担割合が増えることはないが、今後はマイナンバーと金融機関の紐づけなどが進めば、相続などで資産が増えた人は、介護保険の負担が増える可能性もあるので注意が必要だ。

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文/大堀貴子さん

ファイナンシャルプランナー おおほりFP事務所代表。夫の海外赴任を機に大手証券会社を退職し、タイで2児を出産。帰国後3人目を出産し、現在ファイナンシャルプランナーとして活動。子育てや暮らし、介護などお金の悩みをテーマに多くのメディアで執筆している。

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