2018.05.04 |暮らし    1

85才、一人暮らし。ああ、快適なり【第19回 老いらくの恋】

 1965年に発行されて以来時代をリードし続けた雑誌『話の特集』。その編集長を創刊から30年にわたり務めたのが矢崎泰久氏だ。雑誌のみならず、映画、テレビ、ラジオのプロデューサーとしても手腕を発揮する伝説の人物。

 世に問題を提起する姿勢を常に持ち、今も執筆、講演など精力的に活動している。

 現在、85才。自ら望み、家族と離れて一人で暮らすそのライフスタイル、人生観などを矢崎氏に寄稿していただく。

 今回のテーマは、「老いらくの恋」。悠々自適独居生活の極意ここにあり。

さて、矢崎流「老いらくの恋」とは…

  * * *

元気な老人は色欲が旺盛

 えー、今回のお題は、「老いらくの恋」でございます。

 昔、老人が愛されていた時代、流行語にもなった言葉です。今は、老人は増え過ぎたこともあって、ま、嫌われている。うっかりすると世間では邪魔者扱いであります。

 人生僅か50年と言われた頃は、60過ぎると老人だった。それが現在では喜寿の77歳が相場だ。80、90は珍らしくない。つまり長寿が普通。惚けてなんかいられないのである。

 歯(は)・眼(め)・摩羅(まら)という言葉をご存知か。

 まず歯がボロボロになり、次に眼が次第に見えなくなる。そして、摩羅。くだけて言ってしまうと、ナニが立たなくなる。男性についての身体の衰えを表現したものだが、女性はどうなっているかは、寡聞(かぶん)にして知らない。

 肉体は確実に老化するのだが、それに伴なわないのが欲望である。そのギャップが「老いらくの恋」を招くことになる。

 年齢に比較して元気な老人は、たいてい色欲が旺盛である。これは自然の攝理(せつり)のようなもので、肉食を好み、異性を好む。なかなか枯れ木にはならない。

 ところが、そこに問題が起きる。暴飲暴食(ぼういんぼうしょく)は体調を損なう。腹八分目が大切なのだ。

「老いらくの恋」はどうか。セクハラ疑惑がつきまとう恐れがある。若い頃のように相思相愛とは、なかなかなりにくい。そこで、つい悪戯(いたずら)を試みることになる。

 問題は拒否された場合である。あっさり引き下がれば済むとならない。後味が悪いだけならいざ知らず、セクハラに発展しかねない。

 それなりの覚悟をしてではなく、軽い気持ちで行為に及んだ場合に、禍根を残すケースが少なくない。

 さて、どうしたら良いものか。冗談では済まされない事態にだけはしたくないのは当然である。

 簡単な答えは、執拗(しつこく)しないことだろう。あっさりあきらめる。奇妙な弁明をしない。つまり身を引くことが肝腎なのだ。

 相手が好意を持っているのなら、問題はまず起きない。そうでない場合は、心から詫びるべきだろう。謙虚に詫びる。それでもセクハラにつながるようなら、二度と会ってはならない。反省かつ蟄居(ちっきょ)する。それしかない。

私は自由恋愛の信奉者

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  1. イチロウ より:

    男女を問わず、人の情に訴えることを拒否して久しい我が身には、相手が人間の異性も同性も等しく愛と言う姿形の無いものには興味が無くなったのでした。

    確かに愛を感じた時期もありましたが、雲散霧消してしまい、悔いのみが残る結果になったからでした。 

    ただ、猫は別です。 人間と違って、猫は、此方が真摯に向き合うと必ず答えてくれるからです。

    最愛の長男猫を亡くした後の昨年には、生まれて何日目かの仔猫を文字どおりに拾い上げて必死で育て、本当に可愛い仔猫になりましたが、自分の年令を考えて、確りとした里親さんが見つかれば良い、とある動物愛護団体(NPO)に託しました。 

    生まれて数か月なのに、名前を呼ぶと嬉しそうに自分に飛びつく姿を思い出しては涙が出ますが、一時の感情に流されては、本猫のためにはならない、と思い至ったのでした。

    私の場合には、最早、人間の異性に対する愛等は、虚ろなものであり、流されては後悔する、と思って居ます。 

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