2018.04.27 |暮らし   

GWに読みたい!介護中の人にオススメの本厳選5冊

 当サイトの人気シリーズ「息子の遠距離介護サバイバル術」では、認知症の母の介護を東京ー盛岡の遠距離でしている”くどひろ”さんこと、工藤広伸さんに、家族視点で”気づいた””学んだ”介護心得を紹介してもらっている。

 今回のテーマは「介護中の人にオススメの本」。さまざまなジャンルの本を読むという工藤さんが、感銘を受けた本とは?ゴールデンウィーク中にじっくり読書をする機会を持つのもいいかもしれない。

 

まとまった休みを利用して「読書」するのもいいかも(写真/アフロ)

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 わたしは必ず数冊の本を抱えて東北新幹線に乗り、認知症で要介護2の母親が住む盛岡へと向かいます。東京―盛岡間の移動時間は3時間12分(やまびこ利用)なので、車内で1冊の本を読み終えることもあります。

 介護離職する前のわたしは、ビジネス本を多く読んでおりましたが、遠距離介護生活が始まった6年前からは、介護に関する小説、エッセイ、実用書も多く読むようになりました。その読書記録は、わたしのインスタグラムで公開しております。

 今日はその中から、このゴールデンウィークに読んでもらいたい5冊の介護関連の本をご紹介します。

「老い」というものを先回りして勉強できる

老人の取扱説明書 (SB新書)』(著・平松類 SB新書)

 高齢者が赤信号を渡っている姿を見た時、「認知症かも?」と疑ってしまうかもしれません。しかし老化が原因でまぶたが下がり、腰も曲がった結果、高い位置にある赤信号が見えていなかったとしたら、どうでしょう?

 この本には、こういった若い世代には分からない「身体の老化」が具体的に書いてあります。高齢者の体の不自由さを本から学ぶことで、介護される人の気持ちに寄り添うことができるようになると思います。

 また、この本を読むことで、認知症などで自分の症状をうまく伝えられない方の「声なき声」を拾えるようになるかもしれません。

患者と家族が病気を勉強する大切さを教えてくれる

見落とされた癌』(著・竹原慎二 双葉社)

 元WBAミドル級世界王者のボクサー・竹原慎二さんは、ステージⅣの膀胱がんで余命1年と宣告され、そこからほぼ復活された方です。

 竹原さんは医師の誤診率が平均3割もあるという話から、「もしかしたら、医者が間違っているかもしれない」という心構えを患者本人や家族が持ち、勉強をすることの大切さを説いています。自分の命や家族を守るために、医療と必死に戦う竹原家の姿に感動します。

 亡くなったわたしの父は、悪性リンパ腫(血液のがん)で余命1か月から3か月と言われたので、この本に何かヒントがあるかもと思い、手に取った本です。

痛快!エンターテインメント介護小説

我らがパラダイス』(著・林真理子 毎日新聞出版)

 東京・広尾にある介護付き高級マンション「セブンスター・タウン」が舞台。アラフィフ女子3人が、それぞれに抱える介護には経済的な格差があります。

 本の帯に書いてある「介護では、優しい人間が負けるのだ」というコピーどおり、介護をめぐる親族間の争い、お金がある介護とない介護との違いなど、読んでいるうちに介護者自身の介護環境と思わず比較してしまうはずです。

 それでも最後はハラハラして笑えるという、振れ幅が大きいエンターテインメント性の高い介護小説です。

「要介護5」車椅子の母と娘が目指すウィーンまでの物語

おでかけは最高のリハビリ! 要介護5の母とウィーンを旅する』(著・たかはたゆきこ 雷鳥社)

 人気介護ブログ「猫とビターチョコレート」を運営している、たかはたさんが書いた介護エッセイです。高次脳機能障害で車椅子の要介護5のお母さんとたかはたさんが目指す、音楽の都ウィーンへの旅の苦労が、面白く描かれています。

 ウィーンまでの長時間フライトという困難に加え、お母さまは頻尿で尿量も多い方。どんな対策をしてウィーンまでたどり着いたのか、バリアフリーかどうかも分からないウィーンの街の状況を、どう調べ、どう克服したのかなど、読みどころ満載です。

 ゴールデンウィークは、日本中の人が大移動します。そんな時、要介護状態の家族を見て、「一緒に旅行に行けたらなぁ…」と思う介護者も多いと思います。

 わたしもこの本を読んで、認知症の母とゴールデンウィーク明けに富士山を見に行くことを決め、すでに新幹線のチケットを取りました。

 要介護状態で外出すら諦めているご家族がこの本を読むと、一緒に外に出てみたい、近くでいいから旅行に行ってみたい、そんな思いにさせてくれるはず。感動の一冊です。

医師の書いた認知症小説

 今、わたしが読んでいる本は『老乱』(著・久坂部羊 朝日新聞出版)です。

 著者の久坂部さんは在宅医療を知る医師で、この本は認知症小説です。実際に起きた認知症に関するニュースが見出し直後でまず紹介され、その内容に近いお話が、小説として展開されていきます。

 もの忘れが進んでいく父の感覚を、父の書く日記を通して読者は知ることができますし、それを心配する息子や嫁の立場の心情描写がリアルです。

 情景描写が多いタイプの小説ではないので、すごく文章が読みやすく、介護している人は特に「あるある」と言いながら読み進められる本だと思います。

 ゴールデンウィークは、年末年始やお盆に次いで家族の異変に気づきやすい時期です。わたしの書いた連載記事『帰省して発覚!認知症かも…と思ったときの4つの対処法』や、『それ、認知症かも? 家族ならではの「認知症4つの見極め方」』もご一読を。

 今日もしれっと、しれっと。

工藤広伸(くどうひろのぶ)

祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士、なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(http://40kaigo.net/

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