2018.05.15 |サービス   

親の生き様を一冊の雑誌に!“親の自分史”制作して家族に起こった変化

『親の雑誌』というものを、ご存知だろうか?これは、“親の個人史”を1つの雑誌にまとめたもの。子どもから親へのプレゼントとして喜ばれ、2015年5月刊行開始から今までに、全国の男女約600人以上の人生が、それぞれの“1冊の形”となっている

これまでに600名以上の”自分史”が雑誌となっている                   

『親の雑誌」誕生は、高齢者との会話がきっかけ

『親の雑誌』(株式会社こころみ)編集長の早川次郎さんによると、2014年にスタートした同社の『つながりプラス』という“高齢者への見守り電話サービス”が、雑誌創刊のきっかけになっているという。

 このサービスは、一人暮らしの親に専門スタッフが毎週定期的に電話して、その都度その内容を家族にメールでレポートするもの。離れて暮らす親を心配してはいても、普段マメに連絡できない家族に利用されている。

「『つながりプラス』では、「聞く」プロのスタッフが、高齢者の方に電話をして、日常生活や趣味のこと、幼少期や仕事時代の話、時には戦争の話も聞きます。その話の内容が興味深いものばかりで、レポートを読んだご家族からも“親にこんな過去があったのかと、初めて知り驚いた”、“親の気持を知らなかった”などの反響をいただきました。」(早川さん)

「メールで受け取ったレポートを印刷し、大切にファイリングしている」という家族の声を聞いて、「“親の自分史”をまとめ、“形”(雑誌)にする」サービスを思いつき、実現に至ったのだそう。

“親身なインタビュー”で、誰でも自分史を語るようになる

『親の雑誌』は、主役(親)が話したいことや残したいことを載せるのが基本。全20ページ(フルカラー)の誌面は、インタビュー記事、写真、プロフィール、年表などで構成される。

 専門スタッフによる親へのインタビューを元に、以下のような流れで作成される。

1.インタビューへの準備

 制作にはインタビューが重要となるので、家族の協力を得て、最初の訪問取材の前に、親のプロフィールと年表、幼少期から最近までの写真を用意してもらう。

2.インタビューを受ける

  “「聞く」専門家”が親を訪問、メインインタビューを行う。

 インタビューを行う人は“コミュニケーター”と呼ばれ、傾聴をベースにした独自の方法論を徹底的に指導されているという。

 取材に慣れていない高齢者にインタビューする際は、以下のような工夫も。

・インタビューはリラックスできるよう、なるべく自宅で行う
・世間話や天気などの話題から始め、目線の高さを合わせて聞く
・思い出しやすいように、過去から現在に向かって順番に話してもらう
・話し始めは、生年月日や生まれた場所など、必ず分かっていることから聞く

 こうすることで、最初は乗り気ではなかった人でも、活き活きと自分のことも語りだすようになるのだそう。

3.“親の自分史”の完成

 対面でのインタビュー後も、電話で複数回、最近の出来事や趣味、家族への思いなどの取材を行うが、訪問時と同じコミュニケーターが最後まで担当する。

 プロによる編集作業が行われ、取材を受けた本人や家族が行う作業は原稿確認のみ。煩雑な手間がかからないと利用者からは喜ばれているという。

 印刷・製本などを経て、最初の訪問取材を受けてから3~4か月後、世界で唯一の『親の雑誌』が完成となる。

親のヒストリーが詰まった1冊

制作を通じて、親子が交流。家族が繋がるきっかけに

『親の雑誌』編集部には、全国の60歳から105歳までの親や子から、多くの感想が寄せられている。完成した自分史を受け取った親の評判は、とても良い。

「自分の生き様について子どもたちに話す機会がなかった。いつかはルーツを含めて話さねばと思っていた矢先、長男がこの話を持って来てくれて、大変うれしく思っている」(70代男性)

「手に取りやすい週刊誌タイプ、扉の一見して分かる私の経歴。この世に生かされた私の証として大切なものでございます。子どもたちもある側面しか見ていなかった、知らないことがたくさんあったと喜んでくれました」(80代女性)

 一方、依頼した子からも“親への思い”を強く感じられる感想が届いている。

「母が楽しそうにしゃべっている様子が、活き活きと伝わってきました。こんな風に昔のことを明るく語ってくれるようになったんだなと、本当にうれしく拝読しました」(40代男性)。

「“父への贈り物”と私が勝手に思って申し込んだことでしたが、父にとっては、人生の再構成とも言える作業になったようです。(中略)終活ともいえる一連の作業をそばで見てきて、大変勉強になりました。本当にありがとうございました」(50代女性)

 さらに、『親の雑誌』を作ることで、家族関係に変化があった人たちもいるという。

「がんで余命宣告を受け、寝たきりになった方へ急いで取材に行った時のことです。取材時に数週間寝たきりだったお父様がシャキッとされ、起き上がって元気そうにお話くださりました。当時2週間~1か月ももたないと言われていたそうですが、その後、数か月もご存命されたとお聞きしています。

 また、雑誌に家族写真を掲載できるのですが、“実は家族写真がなかった”と雑誌制作のために、わざわざ家族が集まり、集合写真を撮って送ってくださいました。改めて、“家族が繋がるきっかけになるサービス”だと実感いたしました」(前出・早川さん)

『親の雑誌』を依頼する目的の多くは、古希、喜寿、米寿、金婚式などのお祝いとして。また親が軽度の認知症や病気などを発症したことがきっかけに、申し込んだという人も。

 子どもが独立し親も高齢化すると、親子の交流が薄れがち。

“親の自分史”の制作を通して、親孝行できるだけでなく、コミュニケーションが復活でき、親子共に良い時間を共有できるようだ。

【データ】
『親の雑誌』
発行元:株式会社こころみ
料金:194400円~(税込み)(製作費及び全20Pフルカラー雑誌5冊分)
※雑誌は1冊につき2700円(税込み)で増刷可。東京都23区以外への取材には、別途出張経費(交通費等)必要
住所:〒150-0012 東京都渋谷区広尾1-9-15 広尾宮田アネックスビル3階
問い合わせ:0120-042-488(平日9時~18時)
公式サイト:https://oyanozasshi.jp/

                      取材・文/本上夕貴

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