2018.06.27   

初夏から始める【花粉症対策】「シダトレン」舌下免疫療法の実力

「あぁ~、やっと終わった!!」――くしゃみ、鼻水、目のかゆみに悩まされた春が過ぎ、ホッとひと安心という人も少なくないだろう。でも! のど元過ぎた今だからこそ、来年に備えての対策が大切です。決して早すぎない花粉症対策――舌下免疫療法をご紹介します。

花粉症対策を6月から始めるべき理由は?(写真/アフロ)

 高田香織さん(仮名・52才)は高校時代から30年以上にわたり、花粉症に苦しめられてきた。

「私が発症したのは高校3年生のとき。くしゃみをすると止まらない。鼻水が出続け、頭痛もする。目は無性にかゆいので、ついこすって真っ赤になる。外出時は帽子・ゴーグル・マスク・手袋の着用が必須で、見た目は“不審者”そのものでしたね」

 そこで高田さんは市販薬をのみ始めた。しかし、多少の効き目はあれど、頭がボーッとして集中力がなくなるという弊害も。さらに服用を続けると耐性ができ、薬の量は少しずつ増えていった。そんな高田さんが昨年の6月から新たな治療に取り組んだところ“異変”は起きた。

「今年4月、花粉が多く飛散している日に、恐る恐るゴーグルやマスクを外してみました。すると、くしゃみや鼻水がほとんど出ないうえ、目のかゆみもない。数十年ぶりに春の陽気を感じられたんです」

 彼女が始めたのは「シダトレン」というスギ花粉エキスを、毎日舌の付け根に少量垂らす「舌下免疫療法」。来春の花粉飛散に備えるにはまさに“今”が始め時なのだ。

花粉症が根治する可能性も

 日本人の3~4割が発症し、国民病ともいわれる花粉症。特に2~4月に飛散するスギ花粉の有病率は高く、日本人の花粉症のおよそ9割はスギによるものだ。

 そもそも花粉症はなぜ発症するのだろうか。日本医科大学武蔵小杉病院の松根彰志さんに聞いた。

「外部から侵入してきた異物を排除して体を守るのが免疫です。一方で、花粉など無害な物質に対しても異物と認識し、過剰な免疫反応を起こすのがアレルギーで、花粉症はくしゃみや鼻水が止まらないといった症状に陥ります」

 舌下免疫療法はアレルギーの原因物質(シダトレンの場合はスギ花粉エキス)を毎日少量ずつ投与し、体に“この物質は敵ではない”と教える方法。

「あごの下の左右にあるリンパ節はアレルギー反応に深い関係があります。スギ花粉エキスを舌下に投与するとアレルゲンが認識され、口やのど、首のリンパ節が反応し、免疫の“暴走”を抑える働きが期待できるのです」(松根さん・以下「」内すべて同)

 シダトレンの簡単な使い方はこうだ。

「1日1回、舌下に薬液を垂らし、2分間保持した後、のみ込みます。その後は5分間うがいや飲食を控えます」

 これまでの治療法は、くしゃみや鼻水のつらい症状を和らげるために薬をのむ「対症療法」が中心だった。しかし、舌下免疫療法は一生、花粉に悩まされずに暮らせるようになる「根治」の可能性を秘めている。

「一般的な薬はつらい状態を抑えてくれますが、やめればまた症状は出てきます。免疫療法は効果が出るまでに時間はかかりますが、続ければ花粉症が治るかもしれない、夢のある治療なのです」

 シダトレンは市販されておらず、処方薬となる。費用は健康保険が適用され、前出・高田さんの場合、3割負担で、1か月で1179円。初回は初診料と検査料がかかり、1か月ごとの通院のたびに再診料と処方箋料がかかるそうだ。

6月には新薬も発売。小学生の子供も始められる

 6月29日には「シダキュア」という舌の裏から服用する舌下錠も発売される。

「シダトレンが12才から使用可能なのに対し、シダキュアは5才からでも使えるので、小学生のお子さんでも始められます。どちらの薬も最低でも4か月は続けないと効果を実感できないので、来年の春に照準を合わせるなら、6~7月頃から治療を始めるといいでしょう」

 1年目で症状が改善される場合もあるが、2年目でようやくという人も。松根さんは3年は続けるとよいと話す。

「根気よく3年間は続けてほしいですね。私の患者さんは効果のあったかたが全体で8割を超えています」

 厚労省の研究班も治療を受けた患者へのアンケート調査結果を2015年にまとめており、ほぼ8割が例年と比べ、症状が改善したと回答している。2017年6月時点でシダトレンの推計投与患者数は7万2472人。処方を開始した2014年10月から右肩上がりで増えている。

 でも、アレルギーの原因物質を体内に入れることによって副作用はないのだろうか。

「副作用が出る人は全体の約2割と少数です。たとえ症状が出ても多くは2~3週間程度で治まります。中止する必要はありません。私の患者さんでこの治療で脱落した人を現時点では見たことがありません」

 ただし、重度のぜんそくのある人や、併用している薬によっては服用できない場合がある。持病を持っているかたはかかりつけ医への相談が必要だ。舌下免疫療法を行う手順は下をご覧いただきたい。

 今から始めれば、来年の春はいつもより足取りが軽くなっているかもしれない。

※女性セブン2018年6月28日号

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