2018.06.20 |暮らし    12

認知症の祖母の「徘徊」に口出しせず付き添ってみたら…

 突然、だまって外に出て行き、あてもなくさまよい歩くように見える「徘徊」。介護中に起こると、家族にとってはとても心配な行動だ。

 86才の祖母を在宅介護しているライター・奥村シンゴ氏。祖母は認知症の症状もあり、徘徊することが増えてきたというが、最近、たまたま祖母が家を出る段階で気づき、そのままその徘徊に付き添ってみた体験をリポート。一緒に歩いて気づいたこととは?

介護家族の悩みのひとつに挙げられることが多い「徘徊」(写真/アフロ)

 * * *

 認知症祖母を在宅介護して6年目が経過するが、最近「徘徊」の頻度が週2回程度と増えてきた。

 徘徊は、認知症の症状の一つで、見当識障害や記憶障害などの影響で起こることが多いという。祖母の場合も、私の知らぬ間に家を出て近所を歩き回ることがあるのだ。

 先日、徘徊する祖母に付き添うことができたので、その時の様子と一緒に歩いたことで、気づきがあったのでお伝えしようと思う。

普段の倍以上の速さで歩く祖母

 ある日のこと、突然朝方に玄関のドアノブをガチャガチャガチャする音が聞こえたので、見にいくと祖母が物凄い鬼の形相で「これなんで開かないの?外に出たいの」と出かけようとしてる。

「ばあちゃん、今日施設行くのはお休みだから家でゆっくりしてよ。後で散歩に一緒に行こうね」と私が言うのにも聞く耳を全くもたない。

 徘徊を止めることは不可能だと思い、祖母と一緒に外に行くことにした。

 祖母はここ3年程で体重が15キロ程増加し、140センチ少しに64キロあり、足はむくみがひどく、かろうじて片杖でゆっくり歩行できる程度。

 しかし、この時は普段の歩行速度からすると信じられないぐらい速いスピードで歩き始めた。

 以前、ケアマネジャーに「 徘徊の時は考えられないほど早く歩いて行かれることが多いんです。何キロも先で発見されたケースも少なくありません」と言われたことを思い出した。

帰宅願望ならぬ施設願望の発現

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▶コメント

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  1. 匿名 より:

    おばあさんの徘徊についていくなんてなかなか出来ない発想ですね。筆者さんの機転といいますか、発想にとてもびっくりしました。なんだかおばあさんの行動が可愛らしく思えてしまいました。
    ですが毎日毎時間付き添うというのはそういう気持ちとはかけ離れているという現実がありますよね。昔、亡くなった祖父が痴呆で何度もいなくなっていたことを思い出しました。筆者さんは若い頃からおばあさんをお世話していて、辛抱強くてとても偉いですね。
    私は子育て中で、両親も元気なのでまだ先の話しだと感じていますが、いつかそういう現実がきた場合に参考にしたいと思いました。
    これからもあなたのその優しさで乗り越えていってください。応援しています。

    8+

  2. 介護歴15年 より:

    素晴らしい対応ではないですか。不穏状態(徘徊、妄想等)になるのは、やはりご本人にとって、何らかのストレスや不愉快な気分になっている故の行為、行動であって、(ご本人は)自分の心理状態を言葉で表せられないのです。ですから頭ごなしで抑制するのではなく(抑制すればするほど心理状況は悪い方に向かいます)やさしく接しながら、自然とご本人にとって楽しかった頃、光輝いていた頃を思い出させるようにして上げれば不穏状態は必ず治まります。

    8+

  3. もどきち。 より:

    私もこんな風に付き添って出掛けたいな。否定するんじゃなく、当事者が気持ち良くその世界とこの世界を行き来できるようにしてあげたいな。

    18+

  4. yonta より:

    今日の午後から「メンケアー」の講習会に出ますよ。そういう自分は80歳なり。

    12+

  5. 野良の三毛猫 より:

    なんせ
    家内は ケアマネージャー
    64才だが 在宅介護は
    知的障害
    精神障害
    高齢者
    なんでも有ります!

    まあ ボケは当たり前!
    尚 わたしは部下に
    精神障害を抱えています

    福祉とは 仕事を与える事。
    「老人に 生産性がないのは 間違いだ アルビントフラー 社会学者 第三の
    波でご記憶では」

    5+

  6. サンダー兄さん より:

    老健で理学療法士として働きながら、離れて暮らす87歳の母の下へ毎週末帰り、お薬カレンダーのセット、生活必需品の買い出しなどを2年余り続けていましたが、認知症が進行し、通帳は無くす、入れ歯は無くすで、食事が満足に採れなくなり、体重が激減、命の危険があり、私の働く老健に一月前に入所させました。本人は入所を理解しておらず、私の職場である事も理解していないので、私にはストレスの多い状況ですが、スタッフには優しく接して貰えて居ます。 おばあ様の在宅介護お疲れ様です。施設で働く身からすると、住み慣れた家で暮らし続ける幸せは何物にも代えがたいと思うので、おばあ様は幸せですね。記事の中で1つだけ気になったのが、『祖母が長く勤めた電話局と間違えて…』のくだりです。郵電分離がされるまでは、逓信省で同じ管轄であり、郵便局内に交換台があり、郵電分離の際に、郵便局勤務か電電公社勤務か選択できたんです。だからおばあ様のが郵便局で働いていたという記憶は合っていると思われます。

    30+

  7. より:

    相手の思いに寄り添う、否定せず付き合うことで、その目的や理由を推し量ることもできる・・・すごく良い話だと思います。
    昔の諸事情を考えるとおばあさんの話に間違いはないように思います。
    「今」の常識では間違いでも「当時」は常識だった・・・
    そういうことは非常に多いので、「勘違い」や「間違い」で判断して欲しくないと思います。

    この話の中で最も残念なのは、このおばあさんの行動を「徘徊」としてしまっている点です。

    ・このおばあさんは、ちゃんと目的がある。
    ・明確な目的があって、そこに向かってしっかり行くことができている。

    これらを考えると、徘徊ではなく「外出」です。
    一つ覚えておいて欲しいのが、「徘徊」「帰宅願望」「不穏」などの専門用語を使うことで、必要以上に相手を「認知症高齢者」として扱ってしまう原因となってしまうということです。
    「外出」「家が気になる」「落ち着かない」こう言い替えるだけで、「認知症の高齢者」ではなく、「人」として関わることができるように感じています。

    今回の話は、施設やかつての職場に顔を出したかったおばあさんの気持ちに寄り添いそれに付き合った・・・そういう気持ちが大事と言う話でしょう?

    そこに「徘徊」や「〇〇願望」という言葉は不要だった・・・そう思います。

    31+

  8. Ag より:

     やさしさに溢れた健康介護の様子、お祖母様もそんな生活を楽しんでおられる様子が微笑ましく感じられます。
     昔の電電公社の時代、私の住んでいるところは田舎でしたが、郵便局内に電話交換手の女性が働いておられたと記憶しています。
     お祖母様の記憶も満更ではないのではとご推察いたします。
     これからも、永く優しくお付き沿いが出来たらいいですね。

    45+

  9. 名無しさん より:

    昔のNTT職員(電話会社社員)は、郵便局で仕事してたらしいよ。
    ばあちゃんの記憶、たぶん正しいのでは、ないかな?
     

    52+

  10. 虹ママ より:

    たまたま、実母の認知症に悩み何かいい手立てがないかと見ていました。

    感慨深い、本人を否定しない付き添いに感銘を受けつつまた悩んだら見に来たいサイトです。

    誰にも相談出来ず、子育てと仕事と若年性認知症の母に挟まれています。ホッとしました。

    46+