2016.07.26 |マネー   

親の家の片づけ&リフォーム 介護保険制度を利用して自己負担を激減

 多くの人が頭を悩ませている「実家の片付け」。公的な「介護保険制度」を使いこなすと、片付けの負担が劇的に減ることは意外に知られていない。『掃除』『ゴミ出し』『食事の準備、後片付け』『洗濯』『日常品の買い物』など多様な介護サービスを依頼でき、生活援助とは、介護に直面する家族を助けるサービスでもあるのだ。

シニア女性と介護士イラスト

 介護保険制度にはほかにもさまざまな使い道がある。

「実家の改修」もその一つだ。実家を片付ける時、最優先事項は日常生活の安全確保。介護保険制度を使えば、「手すりの取り付け」や「段差の解消」、「転倒防止のための床材の加工・取り替え」など、6種類の住宅改修に介護保険が適用され、原則1割負担で改修工事ができる。

 1つの家屋につき20万円(自己負担2万円)という限度額はあるが、数回に分けて利用することもできる。高齢の親が住む実家のリフォームなら利用しない手はない。

 もしリフォームしたいところがあれば図面や見積書と一緒に申請書を市区町村に提出し、許可が下りたら工事を行うことになる。工事の料金は一度、施工業者に支払い、その領収書を自治体の窓口に提出すると原則9割の工費が戻ってくる仕組みだ。

リフォームは介護保険制度経験業者に

『もう限界? 親の介護と実家の片づけ』(自由国民社)の近著がある高室茂幸氏(ケアタウン総合研究所所長)が解説する。

「過去に介護保険制度を使ったリフォームを経験したことがある業者に依頼するとスムーズです。市区町村の介護保険の窓口にいけば、そうした業者を紹介してくれます」(高室氏)

 高齢者宅に欠かせない「扉の取り替え」にも介護保険が適用される。

「手前や奥に開く開閉式の扉は体のバランスを取りにくく、転倒したり突然開いたドアにぶつかることもあります。また、トイレの扉が内開きだったらお年寄りが中で倒れた場合、ドアが開かなくなり危険な状態になりかねない。そのため居間やトイレの扉は引き戸に改修するのがベスト。将来的に車いすを利用するケースを考えても引き戸のほうが便利です」(高室氏)

庭先で車椅子を押すシニア夫婦

 扉の取り替え工事は通常なら5万~10万円ほどかかるが、介護保険を利用すればその1割で済むことになる。

 高齢になり体が不自由になると杖や車いすなどが必要となり出費がかさむが、こうした介護用品も介護保険を利用すれば安くレンタルできる。

「歩行器、車いすや床ずれ防止用具など介護用品13品目にも介護保険が適用されます。原則1割の自己負担で借りられます」(高室氏)

 介護用ベッド、移動用リフトなど高額の用品も格安で借りられる。レンタルしたい場合はケアマネジャーを通じて事業者に申し込もう。

親の家、片付ける余裕がない場合はデイサービスの利用を

「親の介護に手いっぱいで部屋を片付ける時間がない」という人におすすめしたいのが「通所介護(デイサービス)」の利用だ。

「要介護者がデイサービスセンターなどに通い、食事などの生活支援やレクリエーションを楽しむのが通所介護です。“親が不在になる時間”を利用して効率よく片付けを進めましょう」(高室氏)

 通所介護の利用時間は最長で9時間。「それでは時間が足りない」という場合は、施設に宿泊する「短期入所生活保護(ショートステイ)」を利用すれば、改修工事など大がかりな片付けもできる。

地方自治体の福祉事業も忘れずチェック

 介護保険制度以外にも知っておくべき公的サービスが地方自治体の福祉事業だ。

 たとえば、東京都世田谷区では社会福祉協議会が区内在住の高齢者宅に協力会員を派遣し、必要なお手伝いをする「ふれあいサービス事業」を行っている。

 事前に会員登録をしておけば、「家事援助」(1時間700円~)を依頼できる。ほかにも「大掃除・草取り・枝きりサービス」(協力会員ひとりあたり1時間1000円)、「ゴミ出しサービス」(1回200円)などお年寄り向けのサービスが豊富だ(利用料金のほか、利用月には会費700円が必要)。

 まずは親の住む自治体に確認してみよう。

 高齢化が進み、誰もが介護と無縁ではない時代が到来した。公的な制度を賢く活用して、「介護時代」を乗り切りたい。

イラスト/鈴木清美

※女性セブン2015年10月22・29日号

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